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月別アーカイブ2026.02.25/COLUMN
【我が家の犬と猫を守る!】フィラリア症の正しい知識

1. フィラリア症とは:蚊が媒介する恐ろしい寄生虫病
フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊を媒介して「フィラリア」という寄生虫が動物の体内に侵入し、最終的に心臓や肺動脈に寄生して血液循環を阻害する病気です。
感染の仕組みは、感染動物の血を吸った蚊が、別の動物を吸血する際に幼虫(ミクロフィラリア)を送り込むことで成立します。体内に入った幼虫は数ヶ月かけて成長し、約6~9ヶ月で成虫となります。かつては犬特有の病気と思われていましたが、現在は猫にも感染することが広く知られており、注意が必要です。
2. 主な症状と診断
感染初期は無症状であることが多いですが、成虫が心臓や肺の血管を塞ぎ始めると、以下のような重篤な症状が現れます。
⚫︎ 犬の場合: 咳、息切れ、運動を嫌がる、食欲低下、お腹が膨れる(腹水)、失神、四肢のむくみなどが認められます。
⚫︎ 猫の場合: 咳や呼吸困難といった呼吸器症状のほか、嘔吐や体重減少が認められます。猫は犬より診断が難しく、症状が出たときには手遅れであったり、突然死を招いたりすることもあります。
診断には、血液検査(抗原検査・ミクロフィラリア検査)のほか、レントゲンや心臓超音波検査を組み合わせて行います。
3. 治療の難しさ
一度感染し成虫が寄生してしまうと、単純に駆虫薬で虫を殺せば済むわけではありません。駆虫薬を感染動物に投与することで、死んだ虫体が一気に血管に詰まって塞栓症を起こしたり、激しい炎症(アナフィラキシーショック等)を引き起こしたりするリスクがあるためです。
そのため、一般的には対症療法を行いながら、新たな感染を防ぎ、感染している成虫が寿命で徐々に死んでいくのを待つという治療法が取られ、体から成虫がいなくなるまで3年前後を要します。また、体に負ってしまったダメージは元には戻らず、後遺症として残ってしまいます。
4. 予防の重要性と方法
フィラリア症は「かかると怖い病気」ですが、適切な予防でほぼ100%防げる病気です。
発症後の治療には上記の様に動物に大きな負担をかけるため、予防が最も重要です。
⚫︎ 予防期間: 蚊が出現し始めてから1ヶ月後~いなくなる1ヶ月後までが基本です。吹田市でのフィラリア予防時期は一般的には4月から12月頃までが推奨されますが、温暖化や都市部での影響を考慮し吹田市では通年投与される方も多いです。
⚫︎ 投与前の注意点: 予防薬を飲む前に、感染の有無を確認する血液検査が必要です。感染している状態で薬を飲むと、体内の幼虫が一度に死滅してショック症状を起こす恐れがあるためです。
⚫︎ 薬の種類: 月1回のおやつ(チュアブル)タイプ、錠剤、皮膚に垂らすスポットタイプなど、ペットの性格や体質に合わせて選択可能です。

結論
一度体の中で育ってしまった成虫は簡単には駆除できません。フィラリア症は、放置すれば死に至る恐ろしい病気ですが、飼い主さんが毎月の予防薬投与を忘れずに行うことで、愛犬・愛猫の健康を確実に守ることができます。
最も重要な事は『感染を成立させない事』です。定期的な予防を忘れないように心がけることが大切です。
Q&A
質問:予防薬を数カ月飲ませ忘れていました。この先、薬を飲ませないほうがいいですか?すぐに検査したほうがいいですか?
回答:検査で陽性となるのは感染してから6カ月ほど経ってからなので、すぐに検査しても判断できません。この場合、薬はすぐに再開してもらい、翌年の春に検査して安全に薬を続けられるか判断することになります。
質問:投薬後吐いてしまいました。再度飲ませた方がいいですか?
回答:投薬した直後に吐いてしまったり、吐物に溶けた薬が混じっている場合は再投与した方がいいです。この場合、体調を整えて数日後の再投与をお勧めします。薬の形状にもよりますが、3時間以上経っていて、吐物に薬が混じらない場合は再投与の必要はありません。
質問:子犬はいつからフィラリア予防を開始すればいいですか?
回答:2-3カ月齢でワクチン接種で受診されるタイミングで開始するといいでしょう。
質問:猫にフィラリア予防の必要はありますか?
回答:猫は犬に比べて感染が成立しにくいと言われていますが、犬のフィラリア症とは病態が異なるため注意が必要です。犬と比べて少量の寄生でも過剰な免疫反応が引き起こされることが分かっています。過剰な免疫反応は猫の体に強い炎症を引き起こし、フィラリア随伴呼吸器疾患(HARD:heartworm associated respiratory disease)などを引き起こす可能性もあるため、スポット剤でフィラリア予防をしておいたほうがいいと考えています。スポット剤を使うことで、ノミ・マダニやSFTS、消化管の寄生虫予防も同時に行う事ができます。猫に危険な大半の寄生虫をまとめて予防できるためおすすめです。
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